1. 提出まで3日かかる部下の話
うちのチームにいたAくん。真面目で、資料も丁寧。でも、とにかく遅い。「明日の朝までに企画書ドラフト出して」と頼むと、3日後に完璧に仕上がったものが出てくる。本人は「ちゃんとしたものを出したい」と言う。気持ちはわかる。でも営業現場は、完璧な1本より、スピード感のある3本が勝つ世界だ。丁寧すぎる部下をどう動かすか。これ、管理職なら一度はぶつかる壁だと思う。
2. なぜ「完璧主義」になってしまうのか
完璧主義の部下を「怠けてる」と見るのは完全に間違い。むしろ真逆で、彼らは「失敗したくない」「評価を落としたくない」という恐れが原動力になっている。
原因はだいたいこの3つ。
- 過去に詰められた経験がある:前の上司やクライアントから厳しく指摘された記憶が、過剰な丁寧さを生む
- 「完成度」と「完了」を混同している:100点を目指すあまり、60点で出すという選択肢がそもそもない
- ゴールが見えていない:何のための資料か、誰が見るのか、その温度感を共有できていない
つまり、本人の性格の問題というより、仕事の設計と心理的安全性の問題なんだ。
3. 具体的な対処法5つ
① 「完成度50%で一度見せて」と明確に言う
これ、一番効く。「いいものを作って」じゃなくて「叩き台で構わないから、木曜の15時に一回見せて」と、時間と完成度をセットで指示する。完璧主義の部下は「中途半端なものを出していい」という許可を、上司から明確にもらう必要がある。
② ゴールと用途を先に共有する
「この資料、社内の5分会議で使うだけだから、体裁は気にしなくていい」と伝えるだけで、かける時間が半分になる。逆に「社長プレゼンで使う」なら丁寧にやってもらう。用途を伝えないのは、ゴールなしで走らせてるのと同じだ。
③ 途中経過のチェックポイントを設ける
締切だけ切って丸投げすると、完璧主義の部下は永遠に磨き続ける。「水曜に構成だけ見せて」「木曜に半分書いたら見せて」と中間地点を作る。これで暴走を防げる。
④ スピードを評価軸に入れる
評価面談で「丁寧さ」だけ褒めていると、部下はますます丁寧に寄せていく。「あの提案、スピード感よかったよ」「早く出してくれたおかげで受注できた」と、スピードを評価する言葉を意識的に増やす。行動は評価された方向に寄る。
⑤ 「60点で出す勇気」を見せる
一番効果的だったのが、自分自身が粗いドラフトを部下に共有すること。「俺もこんなもんだよ、あとは走りながら直そう」と見せる。上司が完璧主義をやめると、部下もやめていい気がしてくる。背中で教えるのが一番早い。
4. おすすめ書籍
完璧主義の部下と向き合うとき、僕自身がヒントをもらった本を2冊だけ紹介したい。
『マネジャーの最も大切な仕事』は、部下のモチベーションを動かす鍵が「小さな進捗」にあることを教えてくれる。完璧主義の部下ほど、大きなゴールより日々の小さな前進を見せてあげることが効く。この本を読んでから、中間フィードバックの質が変わった。
もう一冊、『人を動かす傾聴力』もおすすめ。完璧主義の裏にある「失敗への恐れ」を引き出すには、指示より先に聴く姿勢がいる。1on1で何を聞けばいいかわからない人に、具体的な問いかけのヒントがたくさん載っている。
ちなみに僕はKindle Unlimited(読み放題)で関連書をまとめ読みして、使えるところだけ現場に落とし込んでいる。月1冊読めば元が取れるので、マネジメント本を漁る人には相性がいい。
5. まとめ
完璧主義の部下は、能力が低いんじゃない。むしろ責任感が強すぎる。だからこそ、上司の役割は「もっと頑張れ」じゃなく、「60点で出していいんだよ」という許可を出すことだ。
完成度・締切・用途をセットで指示し、途中で声をかけ、スピードを評価する。そして自分自身が粗いドラフトを見せる。これだけで、部下は驚くほど動きが変わる。明日の指示から、一つ試してみてほしい。


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