「部長のせいで資料無駄になりました」と言われた話|時間泥棒な部下への正しい指導法

マネジメント術

1. ある日のチャットで起きた、モヤッとする出来事

つい先日のこと。チームの全体チャットに、ある社員からこんなメッセージが飛んできた。

「来週30分、共有の時間をください。何時がよいですか?」

……いや、何の共有?こっちは何の話か全くわからない。聞けば、自分が少し関わっているプロジェクトについて話したいとのこと。「他のスタッフに関係あるの?」と聞くと「まぁ社内のことなので、知っておいた方がいいと思います」。「文章じゃダメなの?」と返すと「もう資料作ってて面倒なので、MTGでお願いします」。

そして、丁寧にみんなの時間を使う意味を説明したら、最後に返ってきた一言がこれだ。

「じゃあもういいです。共有しません。部長のせいで資料が無駄になりました」

……正直、ため息が出た。

2. なぜこういうことが起きるのか

これ、笑い話に見えて、実は多くの組織で起きている根深い問題だ。原因を冷静に分析すると、3つに分けられる。

① 「自分の時間」と「他人の時間」の重さの違いを理解していない
本人にとっては「30分」だが、10人参加すれば300分=5時間の会社のコストだ。この感覚が抜け落ちている。

② 目的より手段が先行している
「資料を作ったから使いたい」「MTGをしたいからする」。本来は「何を達成したいか」が先にあって、手段としてMTGが選ばれるべきなのに、順序が逆になっている。

③ フィードバックを「攻撃」と受け取ってしまう
「部長のせいで」という言葉に表れている通り、指摘=自分の否定と捉えてしまう。これは経験不足とメンタル耐性の両方の問題だ。

3. こういう部下にどう対応するか|現場で使える5つの対処法

① 「目的・対象・形式」の3点セットを必ず聞く癖をつけさせる

MTGを設定する際は、「何のために(目的)」「誰に向けて(対象)」「なぜその形式か(形式)」を必ず添えるルールを作る。これだけで無駄な会議は半分以下になる。

② 「文章で済むものは文章で」を徹底する

共有のためのMTGは原則NG。資料があるなら、まず文章で展開して、質問が出たら集まる。これが基本だ。「議論」が必要なときだけ集まる。

③ 時間のコスト感覚を数字で教える

「お前の30分」ではなく「会社の5時間、給与換算で◯万円」という伝え方をする。感情論ではなく、ビジネスとしての事実を見せる。

④ 拗ねたら、感情ではなく行動に焦点を戻す

「資料が無駄になった」と言われたら、「無駄じゃない。その資料を共有用ドキュメントに直して投稿してくれ」と具体的な次の行動を指示する。感情に引きずられない。

⑤ それでも変わらないなら、1on1で根本から話す

全体の場で何度言っても響かないなら、1対1の場で「なぜ自分はそう指摘されたのか」を本人に言語化させる。これは時間がかかるが、避けて通れない仕事だ。

こういう時、部下のメンタルや思考の癖と向き合うために、自分自身もインプットを増やしておくと対応の引き出しが増える。私は移動時間にKindle Unlimited(読み放題)でマネジメント本を乱読しているが、月980円でこの自己投資はコスパが良すぎる。

4. おすすめ書籍

今回のようなケースで、私が何度も読み返している本を2冊紹介したい。

『人を動かす傾聴力』
「部長のせいで」と拗ねる部下にカッとなりそうな時、この本が効く。相手の言葉の裏にある本当の感情を聞き取る技術が学べる一冊。1on1で部下の本音を引き出す方法が具体的に書かれていて、感情的な部下への対応に悩むマネージャーには必読だ。

『きちんと伝わる説明の型とコツ』
「目的なきMTG設定」をしてしまう部下に、説明の型を教えるのに最適な本。自分が読んで部下指導に活かすもよし、本人に渡して読ませるのもよし。報告・連絡・相談の質が一段上がる。

5. まとめ

今回のケースで一番大事なのは、「指摘した自分が悪者になった気分」に飲み込まれないことだ。マネージャーとして正しいことを言ったなら、それでいい。拗ねるのは部下の課題であって、こちらが折れる必要はない。

ただし、見捨てるのも違う。冷静に、しつこく、「目的は何か」「他人の時間をどう使うか」を問い続ける。これがマネジメントの地味だけど一番大切な仕事だ。

明日からあなたのチームでも、「そのMTG、本当に必要?」と一度問いかけてみてほしい。

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