ある日、若手が謝罪に来たんだが…
先日、こんなことがあった。うちの若手社員が取引先で失礼な態度を取ってクレームになった。よくある話だ。俺は直接指導してもよかったんだが、ここはチームリーダーに経緯を伝えて、リーダーから指導してもらうことにした。リーダーを育てる意味でもね。ところが翌日、その部下が俺のところに謝罪に来たんだが、どうも要点がズレている。「で、何が問題だったと思う?」と聞いたら、案の定、本人は何もわかっちゃいなかった。
「部長が怒ってるから、とりあえず謝れ」
リーダーと何を話したのか問い詰めると、出てきた答えがこれだ。「部長が怒っているから、とりあえず謝っておけ」。本人は何が悪かったのか納得できないまま、ただ言われたから謝りに来ただけ。これじゃあ何の意味もない。むしろ「上が怒ってるから頭下げとけばいい」という最悪の処世術を教えてしまっている。俺はその場で部下に、お客様に対して何が失礼だったのか、なぜそれがビジネス上致命的なのか、一から説明し直した。本人もようやく腑に落ちた顔をしていたが、本来これはリーダーの仕事だ。
なぜ「穏便リーダー」が生まれるのか
こういう「とりあえず謝らせて場を収める」タイプのリーダーは、どこの組織にも一定数いる。なぜこうなるのか、現場で見てきた俺なりの分析はこうだ。
- 嫌われたくない:部下に厳しいことを言って人間関係が悪くなるのが怖い
- 自分も理解していない:何が問題の本質か、リーダー自身がわかっていない
- 面倒くさい:きちんと向き合って指導するのは時間も労力もかかる
- 上を恐れている:とにかく上司の機嫌を直すことが最優先になっている
結局、自分が楽をするために部下を「謝罪マシーン」として使っているだけ。これが続くと、部下は成長しないし、組織には「謝れば済む」という腐った文化が根付く。
穏便リーダーへの対処法
1. リーダーに「指導の意図」を最初に伝える
俺の反省点はここだ。「指導しといて」だけでは丸投げになる。「何を理解させたいのか」「どこまで腹落ちさせてほしいのか」をセットで伝えるべきだった。
2. 指導後にリーダーから報告させる
部下に謝罪させる前に、リーダー本人から「どう指導したか」を報告させる。ここで指導内容の浅さが見えれば、軌道修正できる。
3. リーダー自身の「問題理解度」を確認する
そもそもリーダーが本質を理解していないケースが多い。「お前はこの件、何が一番マズかったと思う?」と問いかけて、リーダーの解像度を上げさせる。
4. 「謝罪は手段、目的は再発防止」を徹底する
謝ることがゴールじゃない。部下が同じミスを二度としないために、何を理解させ、何を改善させるか。これがマネジメントの本丸だ。
5. リーダーの育成は「同行指導」で見せる
言葉で教えても伝わらないなら、自分が指導している場にリーダーを同席させる。背中で見せるのが一番早い。
おすすめ書籍
こういう「指導が下手なリーダー」を育てるのに、俺がよく勧めているのが 『人を動かす傾聴力』 だ。穏便リーダーの多くは、そもそも部下の話を深く聞けていない。表面的な「謝らせる」で終わるのは、本人が問題の核心まで降りていけていない証拠。傾聴の型を学ぶだけで、指導の質が変わる。
もう一冊、 『新1分間マネジャー』 もマネジャーの基本動作を学ぶのに最適だ。「叱るときは行動を叱り、人格は否定しない」というシンプルな原則が、穏便リーダーには欠けている。短時間で読めるので、若手リーダーへの課題図書にしている。
ちなみにこの2冊、Kindle Unlimited(読み放題) の対象になっていることもあるので、まずはサブスクで読んでみるのもアリだ。
まとめ
「部長が怒ってるから謝っとけ」はリーダーの怠慢だ。謝罪は手段であって目的じゃない。部下に何を理解させ、どう成長させるか。それを考えられないリーダーは、いつまで経ってもプレイヤーの延長線上にしかいない。そして、リーダーをそう育てるのは俺たち上位マネジャーの責任でもある。指導を丸投げするな。意図を伝えろ。報告させろ。これだけで組織は確実に変わる。


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