1. 「業務が多い」と言うから、会社は応えた。でも…
「業務量が多すぎて、お客様のための仕事ができません」
数年前、部下からこう言われた時、私は真剣に向き合いました。ツールを導入し、ムダな会議を削り、人も増やした。会社としても働き方改革を進め、残業時間は確実に減った。
でも、ある日気づいたんです。仕事は減ったのに、本人たちのパフォーマンスも、時間の使い方も、何一つ変わっていないことに。
「あれ?時間ができたら、お客様のための仕事をしてくれるんじゃなかったの?」——同じ悩みを抱えているマネージャー、多いんじゃないでしょうか。
2. なぜ、仕事を減らしても人は変わらないのか
結論から言うと、「業務量」は表面的な理由で、本当の原因は別にあるんです。私が現場で20年見てきて分かった原因は、主にこの3つです。
原因①:時間があれば成果が出る、という誤解
多くの人は「時間がないからできない」と言いますが、実は「やり方が分からない」「優先順位をつけられない」というのが本音だったりします。時間ができても、何をすればいいか分からなければ、結局SNSを見たり、ムダな雑談が増えるだけ。
原因②:「忙しい」が心地よくなっている
これは厳しい話ですが、「忙しい」は一種の免罪符になります。「忙しいから成果が出ない」と言えば、自分を守れる。忙しさがなくなると、成果が出ない理由を失ってしまう。だから無意識に、また自分で仕事を増やしてしまうんです。
原因③:目的が共有されていない
一番大きいのはこれ。「業務を減らした先に、何をしてほしいのか」が明確に共有されていないケースです。会社は「お客様のための時間を作って」と思っていても、本人は「楽になった、ラッキー」で終わる。目的なき業務削減は、ただの怠惰製造装置になります。
3. 現場で効いた、具体的な対処法5つ
① 「空いた時間で何をするか」を先に決めさせる
業務を減らす前に、「この業務がなくなったら、空いた2時間で何をしますか?」と必ず問いかけます。具体的に言語化させることで、削減が目的ある行動に変わります。
② KPIを「時間」から「行動量と成果」に変える
「残業を減らす」ではなく、「お客様訪問件数を週5件にする」「提案書を月10本書く」といった、行動ベースのKPIに切り替える。時間が基準だと、時間をつぶすことが仕事になってしまいます。
③ 1on1で「何に時間を使ったか」を毎週確認
業務を減らしたら終わり、ではありません。毎週1on1で「先週、空いた時間で何をしましたか?」を聞く。これをやるだけで、緊張感と振り返りが生まれます。
④ 成功体験を作り、横展開する
削減した時間でお客様訪問を増やし、受注につながったメンバーがいたら、必ずチーム全体で共有する。「時間を使えば成果が出る」を体感させないと、人は動きません。
⑤ 「変わらない人」には個別に向き合う
それでも変わらない人はいます。その人には、環境のせいにしない対話が必要。「何が障害になっているのか」を本人の口から語らせ、一緒に解決する。ここでマネージャーの真価が問われます。
こうした人間理解や部下との向き合い方を学ぶには、読書が一番効きます。私は移動時間にKindle Unlimited(読み放題)でマネジメント本を読み漁っていて、月額料金の何倍もの価値を感じています。
4. おすすめ書籍
『マネジャーの最も大切な仕事』
部下のモチベーションは「小さな進捗」から生まれる、という研究に基づいた一冊。業務を減らすだけでは人は動かず、日々の小さな成功体験をどう設計するかが鍵だと教えてくれます。「時間を与えたのに動かない部下」に悩むマネージャーには、目から鱗の視点が得られるはずです。
『自走するチームの作り方』
環境を整えても動かないのは、メンバーが「自走」していないから。本書は、指示待ちチームを自律的なチームに変えるための具体的な仕組みが学べます。業務削減を成果につなげる組織設計を考えている方に特におすすめです。
5. まとめ
業務を減らしても人が変わらないのは、「時間の問題」ではなく「目的と行動の問題」だからです。会社が環境を整えるのは前提条件に過ぎず、最後は本人の意識と、マネージャーの関わり方で決まります。
「やってあげたのに変わらない」と嘆く前に、「目的を共有したか?」「空いた時間の使い方を一緒に設計したか?」を自問してみてください。答えは、意外と自分たちの関わり方の中にあるものです。現場で一緒に頑張りましょう。


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