今日、仕事のできる後輩からこんなことを言われた。
「部長、自分にはバイアスがありました。これからは部長の言葉も100%信用せず、一度疑ってから判断します」
正直、最初は少しドキッとした。でも、すぐに嬉しさがこみ上げてきた。彼は社外講師のセミナーを受けて、自分の頭で考える大切さに気づいたのだ。これは間違いなく成長だ。
一方で、背筋が伸びる思いもあった。仕事ができる部下ですら、上司の言葉を妄信してしまうことがあるという現実。自分の影響力の怖さを改めて感じた瞬間だった。
なぜ優秀な部下ほど上司を信じすぎるのか
優秀な部下が上司の言葉を疑わなくなる背景には、いくつかの要因がある。
1. 成功体験の積み重ね
上司の指示に従って成果が出た経験が多いと、「この人の言うことは正しい」という思考パターンが固定化される。
2. 効率を優先する思考
優秀な人ほど「考える時間がもったいない」と感じやすい。上司の判断をそのまま採用したほうが早いと思ってしまう。
3. 心理的な依存関係
信頼関係が深まるほど、無意識のうちに「上司の判断=正解」という図式ができあがる。これは悪いことではないが、行きすぎると自分の判断力が育たなくなる。
今回の後輩は、外部のセミナーという「異なる視点」に触れたことで、このパターンに気づけた。それ自体が大きな成長だと思う。
上司として意識すべき3つのこと
この出来事をきっかけに、自分自身のマネジメントを見直すことにした。
1. 「正解」を与えすぎない
部下から相談を受けたとき、つい答えを言ってしまいがちだ。でも、それを続けると部下は考えることをやめてしまう。
「お前はどう思う?」「他に選択肢はないか?」と問いかける習慣をつける。答えを出すのは部下自身だという意識を持ってもらうことが大切だ。
2. 自分の判断の「理由」を開示する
指示を出すときに、なぜその判断に至ったかを説明する。判断のプロセスを見せることで、部下は「上司も考えて決めている」ことを理解できる。
完璧な判断などないし、状況によっては間違うこともある。それを隠さずに伝えることで、部下も「自分で考えていいんだ」と思えるようになる。
3. 外部の学びを積極的に推奨する
今回の後輩のように、社外のセミナーや書籍は新しい視点を与えてくれる。自分とは違う考え方に触れることで、部下は「上司の言葉も一つの意見にすぎない」と客観視できるようになる。
むしろ上司として、「俺の言うことを疑え」と言えるくらいの器でありたい。
4. 疑問を歓迎する空気をつくる
「それ、本当にそうですか?」と部下が言いやすい環境をつくることも重要だ。反論されたときにムッとしたり、「いいから言う通りにしろ」と言ってしまうと、部下は二度と疑問を口にしなくなる。
意見をぶつけてくる部下は、チームにとって貴重な存在だ。その声を潰さないようにしたい。
おすすめの書籍
今回のテーマに関連して、ぜひ読んでほしい本を紹介する。
『嫌われる勇気』は、他者の評価に縛られず自分の判断で生きることの大切さを教えてくれる一冊だ。部下に「自分で考える力」を持ってほしいと思うなら、まず自分自身がこの本のメッセージを理解しておくといい。マネージャーとしての在り方を見直すきっかけになるはずだ。
また、マネジメントの基礎を学び直したい方には『新1分間マネジャー』もおすすめだ。部下の自立を促しながら成果を出すマネジメントの本質がシンプルにまとまっている。
まとめ
「部長の言葉を100%信用しません」
この言葉を聞いたとき、正直に言えば複雑な気持ちだった。でも、冷静に考えれば、これは部下の成長の証だ。
上司の言葉を疑える部下は強い。自分で考え、自分で判断できるからだ。
一方で、この出来事は自分への警告でもあった。どれだけ信頼されていても、その信頼に甘えてはいけない。部下を妄信させてしまう上司にはなりたくない。
むしろ「疑ってくれてありがとう」と言える上司でありたい。そう思いながら、今日も現場に向かっている。


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