1. ある若手部下の話
先日、うちの若手メンバーと面談をしていて、ふと気づいたことがありました。彼は期限を守らない。資料の提出も顧客へのメールの返信もいつも遅れる。デスク周りは書類が山積み、私物もぐちゃぐちゃ。出社もいつもギリギリで、朝礼に滑り込みセーフ。本人に悪気はないんです。むしろ「頑張ってます!」と言う。でもね、数字は伸びない。お客様からのクレームも少なくない。なぜだろうと考えたとき、答えはシンプルでした。「全部つながってる」んです。
2. なぜ“当たり前”ができないのか
現場を20年以上見てきて思うのは、仕事ができない人に共通するのは「一つひとつの小さなことを軽く見ている」という点です。
期限を守らないのは、スケジュール管理ができていないから。スケジュール管理ができないのは、自分の仕事量を把握できていないから。把握できないのは、デスクも頭の中も整理されていないから。整理されていないから、朝も余裕を持って出社できない。
つまり、「期限を守らない」という一つの症状は、生活・思考・習慣のすべてが雑になっている結果なんです。根っこは一つ。小さなことを、小さなこととして扱わず、丁寧にやれていない。それだけなんです。
3. 現場で実際に効いた5つの処方箋
① まず「机の上」から直す
私はいつも、行動改善をしたい部下には「まずデスクを片付けろ」と言います。仕事術の本を読ませるよりずっと効く。机が整うと、不思議と頭も整うんです。毎日帰る前に5分、机の上をリセットさせる。これだけで翌朝の立ち上がりが変わります。
② 出社時間を15分だけ早める
「30分早く来い」と言うと続かない。でも「15分だけ」ならできる。この15分で、メールチェック・今日のタスク確認・コーヒーを飲む余裕が生まれる。余裕があると、ミスも減る。ギリギリ出社の人間は、一日中ギリギリで仕事をしているんです。
③ 期限は「自分で宣言」させる
上から「金曜までにやって」と言うと、他人事になる。だから私は「いつまでにやれる?」と必ず聞く。自分の口から出た期限は、不思議と守ろうとするんです。人間は自分で決めたことには責任を感じる生き物です。
④ 1日の終わりに「3つだけ」振り返らせる
「今日できたこと」「できなかったこと」「明日やること」。これを3行だけノートに書かせる。たった3行です。でもこれを続けると、自分の仕事のクセが見えてくる。なぜ期限を守れなかったのか、自分で気づくようになる。
⑤ 怒らずに「つながり」を教える
「期限を守れ」「机を片付けろ」と個別に怒っても、本人はピンと来ません。「全部つながってるんだよ」と、なぜ机が汚いと期限を守れないのか、そのロジックを丁寧に話す。理屈で腹落ちすると、人は動きます。
4. おすすめの一冊
小さな当たり前を積み上げる大切さを、理論と実例で教えてくれる本があります。
『習慣の力』は、なぜ人は同じ失敗を繰り返すのか、どうすれば行動が変わるのかを脳科学の視点から解説してくれます。部下に「気合で直せ」と言っても無理。仕組みと習慣で変えるしかない、という視点が得られる一冊です。マネジャー本人にも、部下指導のヒントとしても使えます。
もう一冊、行動が遅い・先延ばしグセのある部下を持つ方には『すぐやる人の思考法』もおすすめ。「なぜすぐやれないのか」が具体的に書かれていて、若手に貸してあげるのにちょうどいい厚さです。
こうした書籍はKindle Unlimited(読み放題)の対象になっていることも多いので、マネジメント系の本をまとめて読みたい方は活用してみてください。
5. まとめ
期限を守る。机を片付ける。時間に余裕を持って出社する。どれも派手さはない、本当に「当たり前のこと」です。でも、この当たり前を当たり前にやり切れる人間が、最終的に強い。営業成績も、人間関係も、キャリアも、全部ここから始まります。
部下に伝えるときも、自分に言い聞かせるときも、私はいつも同じことを思います。「一つひとつの当たり前を、一生懸命、当たり前にやる」。これだけでいい。これができれば、仕事は必ず回り出します。


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