「あいつのいいとこ?ひとつもないっすよ」と言い切るパワハラ社員の扱い方

マネジメント術

1. 「ひとつもない」と言い切った先輩社員

ある日の1on1。成績はそこそこ出しているが、後輩への当たりが強すぎる中堅社員と面談していた時のことだ。「後輩のいいところを3つ挙げてみて」と聞いたら、彼はこう返してきた。「いやぁ、部長。ひとつもないっすよ、マジで」。冗談かと思ったが目は本気。周りの後輩たちは次々と辞め、彼のチームだけ離職率が突出していた。文句と粗探しばかりの人間が一人いるだけで、チームは簡単に壊れる。今日はそんな話をしたい。

2. なぜ「いいところが見つけられない」人間が生まれるのか

結論から言うと、これは性格の問題ではなく思考のクセの問題だ。人間の脳はもともと「危険」や「欠点」を見つけるほうが得意にできている。放っておけば、誰だって粗探しモードになる。

さらに、自分が若手だった頃に厳しく詰められて育った人間ほど、「俺はこれで耐えてきたんだから、こいつらも同じ基準で評価されるべき」という歪んだ正義感を持ちやすい。結果、後輩の頑張りが視界に入らなくなる。自分を守るために、相手を下げ続けるしかなくなるんだ。

そして一番厄介なのが、本人に自覚がないこと。「俺は事実を言ってるだけ」「甘やかしたら成長しない」と本気で思っている。だから「優しくしろ」と言っても通じない。

3. 粗探し社員にどう向き合うか、5つの対処法

① まずは話を聞く。正論で殴らない

いきなり「お前の態度が悪い」と言っても反発するだけ。「なんでそう感じるのか」をじっくり聞く。たいてい、本人も何かしらの不満や疲労を抱えている。ここを飛ばすと絶対に動かない。

② 「いいところ探し」をルール化する

感覚でやらせようとしても無理。週1の会議で「メンバーのよかった点を一人ひとつ挙げる」を業務として組み込む。最初は「時間通りに来てました」みたいなレベルでもいい。とにかく口に出させることが重要だ。思考は言葉に引っ張られる。

③ 評価項目に「後輩育成」を入れる

結局、人は評価される項目しかやらない。「後輩の成長度合い」「チーム内の関係構築」を明確に評価に入れてしまう。これをやるだけで、翌月から後輩への言葉遣いが変わった社員を何人も見てきた。

④ 退路を示す

それでも変わらないなら、「このままだとチームリーダーは任せられない」「異動もあり得る」とハッキリ伝える。曖昧にするのが一番よくない。覚悟を示さないマネージャーは、パワハラ社員に舐められる。

⑤ マネージャー自身が手本を見せる

最終的にはこれに尽きる。部下のいいところを常に言語化しているマネージャーの下では、粗探しは自然と減っていく。チームの空気は上から下へ流れるものだ。

こうした「人の見方」を変える習慣は、本を読んで頭にインプットするのが一番早い。私自身、移動中のスキマ時間に Kindle Unlimited(読み放題) でマネジメント本を読み漁って、自分のアタマを強制的に切り替えてきた。

4. おすすめ書籍

今回のテーマで特に読んでほしい2冊を紹介する。

『人を動かす』は言わずと知れた名著。「人を非難せず、まず理解する」という基本姿勢が徹底的に書かれている。粗探しばかりの部下に読ませたい本であると同時に、彼らにイライラするマネージャー自身にも刺さる一冊。人の見方がまるごと変わる。

もう一冊は 『自走するチームの作り方』。チームが壊れる原因の多くは「個人の能力」ではなく「関係性の質」にある、という視点がとても実践的。パワハラ気質のメンバーを抱えたチームをどう立て直すか、具体的なヒントが詰まっている。

5. まとめ

「あいつのいいとこなんて、ひとつもない」。こう言い切る社員がいるチームは、必ずどこかで崩壊する。なぜなら、チームは人でできているからだ。人の粗ばかり見る目を持った人間が多数派になると、組織は一気に冷え切る。

人のいいところを見つけるのは、生まれ持った才能じゃない。訓練で身につくスキルだ。マネージャーの仕事は、メンバーにそのスキルを強制的にでもインストールすること。今日から一人ずつ、「いいところを3つ言わせる」から始めてみてほしい。チームの空気は、必ず変わる。

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