先日、出張から戻ったら部下から衝撃の報告を受けました。「○○部長に1時間説教されました」と。話を聞くと、うちのスタッフがミスをしたのは事実。でも驚いたのは、ミスをした本人だけでなく、その場にいた10名のメンバー全員が「周りの指導が悪い」と延々と説教されたというのです。自分がいない間に、他部署の管理職が自分の部下を叱る。しかも集団で、1時間も。正直、怒りで頭が真っ白になりました。
なぜこういうことが起きるのか
冷静になって考えると、これにはいくつかの構造的な問題があります。
まず、「叱る側の正義感の暴走」です。被害を受けた側からすれば怒りたくなる気持ちは分かります。でも、他部署のメンバーを直接叱責する権限は本来ありません。それを「自分が正しいから」という理由で越権行為をしてしまう。これは組織として危険なサインです。
次に、「マネージャー不在時の対応ルールがない」という問題。私がいれば当然その場で止めていました。でも不在時にこうした事態が起きたとき、部下たちはどう対処していいか分からなかった。これは私自身の準備不足でもあります。
そして、「集団への説教」という指導の誤り。ミスした本人への指導ならまだしも、周囲の10名まで巻き込んで1時間。これは指導ではなく、ただの感情の発散です。
こういうとき、マネージャーはどう動くべきか
1. まず部下の話を全部聞く
戻ってきてすぐ、私は関係者全員から話を聞きました。ミスの内容、説教の経緯、誰が何を言われたか。ここで大事なのは、最初から「許せない」という感情で聞かないことです。事実を正確に把握しないと、次のアクションを間違えます。感情はいったん横に置いて、メモを取りながら淡々と聞く。これが鉄則です。
2. 部下には「あなたは悪くない」と明確に伝える
1時間も説教されたメンバーたちは、明らかに萎縮していました。特にミスをした本人は「自分のせいで皆に迷惑をかけた」と落ち込んでいた。だから私は全員に伝えました。「ミスの責任は俺が取る。他部署から直接叱られる筋合いはない。君たちは何も悪くない」と。マネージャーが明確に味方だと示すこと。これがないと、部下は二重に傷つきます。
3. 相手の上司に正式に抗議する
私はその日のうちに、説教をした部長の上司にあたる本部長にアポを取りました。感情的にならず、事実ベースで伝えます。「うちのスタッフがミスをしたのは事実です。ただ、他部署の管理職が直接1時間にわたって複数名を叱責するのは、組織として問題があると考えます」と。抗議は「怒り」ではなく「問題提起」として行う。これが相手に聞いてもらうコツです。
4. 再発防止の仕組みをつくる
今回の反省を活かして、チーム内でルールを決めました。「他部署から叱責を受けそうになったら、その場で『上長に報告してから対応します』と言って一度持ち帰る」というルールです。部下に「逃げていい」という選択肢を与えることが大事。相手の勢いに飲まれてその場で耐え続ける必要はありません。
5. ミスそのものへの対処は別で行う
これは絶対に忘れてはいけません。他部署からの叱責は不当だったとしても、ミス自体はきちんと振り返る必要があります。ただし、それは私とミスをした本人の間で行うこと。「何が原因だったか」「次はどうするか」を一緒に考える。叱責と指導は違います。部下の成長につながる対話を、落ち着いた場で行いました。
おすすめの書籍
今回のような「人を動かす」「人との関係を築く」という場面で、私がいつも立ち返る本があります。『人を動かす』です。抗議するにしても、部下を守るにしても、結局は相手との信頼関係がベースになる。この本はそうした人間関係の原則を教えてくれます。感情的になりそうなとき、この本の内容を思い出すと冷静になれます。
まとめ
他部署から部下が理不尽な扱いを受けたとき、マネージャーの動き方でチームの信頼は大きく変わります。黙って見過ごせば「この人は守ってくれない」と思われる。感情的に怒鳴り込めば、組織内での自分の立場が危うくなる。大事なのは、事実を冷静に把握し、部下を明確に守り、正式なルートで問題提起することです。そして、ミスへの対処は別できちんと行う。これができれば、部下は「この人についていこう」と思ってくれるはずです。


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