トップ営業マンなのに「雑」な部下。指摘すると逆ギレ…どう向き合う?

マネジメント術

「いや、それくらい自分で調べてよ…」

サポートチームからそんな愚痴が聞こえてきたので、チャットを見てみると、うちのエース営業マンからのメッセージだった。「○○様の電話番号送って」「△△の件、どうなってる?」

一見、普通のやりとりに見える。でも、その電話番号は毎日のようにかけている顧客のもの。登録しておけば一瞬で済む話だ。△△の件も、彼自身のチャットグループで既にやりとりされている内容。スクロールすれば30秒で分かる。

でも彼は、考える前にまず聞く。自分は売上に集中するから、それ以外は周りがやればいい。そういうスタンスなのだ。

なぜ「できる営業マン」ほど雑になるのか

彼のような営業マンは、実は珍しくない。数字を作れる人ほど、「自分の時間単価」を強く意識している。だからこそ、調べる時間より聞く時間を選ぶ。効率的といえば効率的だが、その「効率」は周囲の時間を奪うことで成り立っている。

さらに厄介なのは、本人に悪気がないこと。むしろ「俺は売上で貢献してるんだから、細かいことは任せて当然」という自負すらある。

そして極めつけは、指摘したときの反応だ。「悪いところがあれば教えてください」と言うわりに、実際に伝えると「じゃあ、この売上を作る代替案を出してください」と逆ギレ気味に返してくる。

これは典型的な「成果で防御する」パターン。数字という盾を持っているから、行動面の指摘を受け入れにくくなっている。

「売れるけど雑」な部下への対処法

1. 指摘の前に「前提」をすり合わせる

いきなり「ここが雑だよ」と言っても、彼には響かない。まずは「あなたの売上は本当に助かっている」と認めた上で、「ただ、チームで仕事をする以上、周囲への配慮も評価の一部だ」という前提を共有する。

ポイントは、売上を否定しないこと。彼の武器を取り上げようとすると、防御本能が働いて聞く耳を持たなくなる。

2. 「あなたの評判」という切り口で伝える

「サポートチームが困ってる」と言っても、彼には他人事だ。でも、「周囲からの信頼を失うと、いざというとき助けてもらえなくなるよ」という話なら、自分ごとになる。

実際、トップ営業マンほど周囲のサポートで成り立っている部分は大きい。その事実を具体的に見せてあげることが大切だ。

3. 「代替案を出せ」には乗らない

「じゃあ売上の代わりを出してください」と言われたら、こう返す。

「売上の話はしていない。今は仕事の進め方の話をしている。論点をすり替えないでくれ」

ここで引いてしまうと、彼は「やっぱり売上さえ作れば何でも許される」と学習してしまう。上司として毅然とした態度を見せる場面だ。

4. 小さな行動変容から求める

「全部直せ」と言っても無理がある。まずは一つだけ、具体的な行動を変えてもらう。

例えば、「顧客の電話番号は、初回に必ず登録する。これだけやってくれ」と決める。小さな成功体験を積ませることで、徐々に意識が変わっていく。

5. チームのルールとして明文化する

彼だけに言うと「なんで俺だけ」となりやすい。だからこそ、チーム全体のルールとして「依頼前に自分で調べられることは調べる」「既存のやりとりを確認してから質問する」といったガイドラインを作る。

個人攻撃ではなく、チームの仕組みとして整えることで、本人も受け入れやすくなる。

おすすめ書籍

こうした「成果は出すけど扱いが難しい部下」との向き合い方に悩んでいるなら、『新1分間マネジャー』が参考になる。短時間で的確にフィードバックを伝える技術が学べる一冊で、忙しい営業マネージャーでもすぐに実践できる内容だ。「褒める」と「叱る」のバランスに悩んでいる人にこそ読んでほしい。

また、部下の日々の小さな進捗をどう支援するかという視点では、『マネジャーの最も大切な仕事』もおすすめだ。派手な成果だけでなく、日常の行動改善をどうマネジメントするかのヒントが詰まっている。

まとめ

売上を作れる部下は、間違いなく貴重な戦力だ。でも、「数字さえ出せば何でも許される」という空気がチームに広がると、周囲のモチベーションは確実に下がる。

大切なのは、成果を認めながらも、行動面のフィードバックは別軸でしっかり伝えること。そして、「代替案を出せ」という論点のすり替えには乗らないこと。

トップ営業マンが「売れるし、信頼もされる」存在になれたら、チーム全体の成果はもっと上がる。そこに導くのが、マネージャーの仕事だ。

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