「しょうがないんですよ」と言う後輩への向き合い方

マネジメント術

1. 「しょうがないんですよ」が口癖の後輩

先日、うちの部署で発生したクレーム対応の件で、関係する他部署の後輩のところへ相談に行った。事情を説明して「こうしたらどうかな?」と提案すると、返ってきたのは「それはしょうがないんですよ」の一言。じゃあ「○○さんに相談してみたら?」と言っても「言ったって無駄ですよ」と返される。何を提案しても「変えるのは無理」の一点張り。これ以上話しても進展はないと判断し、私はその場を離れて上長のところへ向かった。営業マネージャーをやっていれば、誰しも一度はこういう壁にぶつかるはずだ。

2. なぜ「しょうがない」と言ってしまうのか

正直、最初は「やる気がないのか?」とイラッとした。でも冷静になって考えると、彼が悪いだけじゃない背景が見えてくる。

一つは、過去に何度か改善提案をしたけど受け入れられなかった経験。「言っても無駄」というのは、本人の中では実体験に基づいた合理的な判断なのだ。二つ目は、その部署の文化。上司が「前例がない」「うちじゃ無理」と言い続ける環境にいると、若手も同じ思考になる。三つ目は、当事者意識の欠如。自分の部署のクレームじゃないから、本気で向き合う動機がない。

つまり「しょうがない」は、本人の能力や性格の問題というより、環境とこれまでの経験が作り出した防衛反応なのだ。これが分かると、対処法も見えてくる。

3. 「しょうがない」を突破する具体的な対処法

① いきなり解決策を提示しない

こちらが「こうしたら?」と切り出した瞬間、相手は「また面倒な話か」と身構える。まずは「困ってるんだよ、ちょっと相談に乗ってほしい」と、教えを請う形で入る。立場を下げて入ると、相手の防衛反応は和らぐ。

② 「無理」の中身を具体的に聞く

「言っても無駄」と言われたら「過去にどんなことがあったの?」と掘り下げる。具体的なエピソードを引き出すと、本人の思考が整理されて「あれ、今回は違うかも」と気づくこともある。抽象的な「無理」のまま放置しないことが大事だ。

③ 巻き込まずに、情報共有だけにする

動かない人を無理に動かそうとすると消耗する。「分かった、ありがとう。一応こちらで動くから、何か情報あれば教えて」と引く。彼を動かすことが目的じゃない、クレームを解決することが目的だ。手段にこだわらない。

④ ルートを変える勇気を持つ

今回の私のように、上長に相談するのは逃げじゃない。横の連携で動かないなら、縦から動かす。これはマネジメント上、当たり前の判断だ。ただし「あいつが動かないんで」と愚痴にしないこと。「こういう状況なので、上から一声かけてもらえると助かります」と事実ベースで伝える。

⑤ 自分の部下にはそうさせない仕組みを作る

他部署の後輩は変えられないが、自部署のメンバーは変えられる。「無理です」「しょうがない」と言わせない文化を作る。提案には必ず一度乗る、却下するときは理由を説明する。これを徹底するだけで、メンバーの口癖は変わる。

4. おすすめの一冊

こういう「動かない相手」とのコミュニケーションに悩んでいるなら、『人を動かす傾聴力』が役に立つ。提案する前にまず聴く、相手の「無理」の背景を引き出す技術が学べる一冊。1on1や他部署との折衝でそのまま使えるノウハウが詰まっている。

もう一冊、根本的な「人の動かし方」を学びたいなら『人を動かす』。古典だが、何度読んでも発見がある。営業マネージャーの本棚には絶対にあっていい。

マネジメント系の本をまとめて読むならKindle Unlimited(読み放題)もコスパがいい。月に2〜3冊読めば元が取れる。

5. まとめ

「しょうがない」「無理です」と返してくる相手に、こちらが熱くなっても消耗するだけだ。相手の背景を理解し、深追いせず、必要ならルートを変える。そして自分のチームには、その口癖を絶対に根付かせない。マネージャーの仕事は、動かない人を動かすことじゃなく、結果として組織を前に進めることだ。今日も淡々と、できることをやっていこう。

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