最近は男性の育休取得が当たり前になり、わが社でも積極的に取得を推進しています。そんな中、ある若手男性スタッフが「周りから批判を受けている」という話が耳に入ってきました。
最初は、男性が育休を取ることを非難するような「古い考えのスタッフ」がまだ社内にいるのか……と思ったのです。しかし、詳しく事情を聞いてみると、全く違いました。
怒っていたのは女性社員たち。なんと、その育休を控えた男性スタッフは、業務中のオフィスで堂々とこう言い放っていたそうです。
「育休ラッキーです。俺は子育てしないんで遊びまくります。〇〇さんも会社休んで絶対遊んだほうが得ですよ!」
そりゃあ、女性陣から「育休の意味をはき違えている!」と愚痴の嵐が巻き起こるのも当然です。
なぜこんなことが起きるのか
男性育休の取得率が上がってきたのは、間違いなく良い流れです。わが社でも積極的に推進しています。しかし、制度が浸透する過程で「なぜ育休があるのか」という本質が伝わっていないケースが出てきました。
この若手社員の場合、いくつかの問題が重なっています。
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制度の目的を理解していない 育休は「子育てのための休業」であり、「長期休暇」ではありません。しかし、取得を推進するあまり「とにかく取ろう」というメッセージだけが伝わり、目的が抜け落ちている可能性があります。
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発言の影響を想像できていない オフィスには、育児と仕事の両立に苦労している女性社員がいます。育休を取りたくても取れなかった先輩もいるかもしれません。そうした人たちの前で「遊びまくる」と言えば、どう受け取られるか。想像力が欠けています。
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周囲からの指摘がなかった 本人が悪気なく発言しているとすれば、これまで誰も注意してこなかったということ。マネージャーとして、見過ごしてきた責任も考える必要があります。
マネージャーとしての具体的な対処法
1. 本人と個別で話す場を設ける
まずは、本人と落ち着いて話す時間を作ってください。ただし、頭ごなしに叱るのではなく、「あの発言、どういう意味だった?」と確認から入ります。
本人が本気で遊ぶつもりなのか、軽い冗談のつもりだったのか。まずは意図を聞きましょう。その上で、「その発言を聞いて傷ついている人がいる」という事実を伝えます。
ポイントは、育休取得自体を否定しないこと。「育休を取るのは良いことだ。ただ、あの言い方は周囲を傷つけている」と、行動と発言を分けて伝えることが大切です。
2. 育休の目的と期待を明確に伝える
「育休を取ってほしい」だけでなく、「何のための育休か」「会社として何を期待しているか」を明確に伝えましょう。
具体的には、「育休中は育児に集中してほしい」「復帰後、その経験を活かしてほしい」といった話です。漠然と制度を使わせるのではなく、目的を共有することで、本人の意識も変わります。
3. 女性社員たちの声を受け止める
怒っている女性社員たちを放置してはいけません。「ちゃんと話を聞いた」「対応している」ということを、さりげなく伝えてください。
ただし、「あいつを注意しておいたから」と報告する必要はありません。それはかえって対立を煽ります。「不快な思いをさせて申し訳ない。チームとして改善していく」という姿勢を見せれば十分です。
4. チーム全体に育休の意義を共有する
今回の件は、チーム全体で「育休とは何か」を改めて考える機会にもなります。次の朝礼やミーティングで、男性育休の目的や、会社としての考え方を共有してみてください。
特定の誰かを名指しするのではなく、「最近、育休についていろいろな声を聞くので、改めて共有したい」という切り口なら、自然に伝えられます。
5. 自分自身の発信を見直す
マネージャーとして、普段から育休についてどう発言していたか振り返ってみてください。「育休、取れるなら取っておけよ」と軽く言っていなかったか。制度の推進ばかりで、目的を伝え損ねていなかったか。
部下は上司の言葉をよく聞いています。今後は「育休は子育てに集中する大事な時間だから、しっかり使ってほしい」と、意味を込めて伝えるようにしましょう。
おすすめの書籍
今回のような「部下の言動をどう正すか」という場面では、伝え方ひとつで結果が変わります。
『新1分間マネジャー』は、部下への指摘やフィードバックの基本を学べる一冊です。短時間で読めるのに、「叱る」と「育てる」のバランスが身につきます。今回のように、行動を正しつつ相手のモチベーションを下げない伝え方を知りたい方に最適です。
また、チーム内の人間関係や、異なる立場の人への配慮を深めたいなら、『人を動かす』もおすすめです。相手の立場に立って考える力が身につき、今回のような対立を未然に防ぐヒントが詰まっています。
まとめ
男性育休の推進は素晴らしいことです。しかし、制度だけが先行すると、今回のような「意味のはき違え」が起きます。
マネージャーとしてやるべきは、制度の目的を伝え、不適切な言動には毅然と対応すること。そして、傷ついた人の声をきちんと受け止めること。
育休を取る本人も、周囲のメンバーも、気持ちよく働ける職場を作るのがマネージャーの仕事です。今回の出来事を、チームが成長するきっかけに変えていきましょう。

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